都電荒川線 軌道緑化実験の一年を振り返って
カテゴリー:軌道緑化 タグ:グリーンビズ, 東京都交通局, 軌道緑化, 都電荒川線 2017年02月25日
「都電荒川線の軌道緑化実験に参加してみないか」
東京都交通局様から打診をいただいたのが平成27年の夏でした。
都電荒川線の軌道緑化について、東京都はそれまでにも何度かチャレンジしたようですが、
人の手助けなど受けられない軌道上のこと、
ましてや、植物に必要な水は雨水だけという過酷な自然環境の中での実験は
いずれもうまくいかなかったとのことでした。
そんな中で東京都の目に留まったのが富山ライトレール(富山市)での
無灌水緑化システム「グリーンビズ」の軌道緑化でした。
東京都交通局軌道緑化実験に応募する際、
当社が提案したポイントは次の通りでした。
①打ち水効果でヒートアイランド現象を抑制
保水セラミックスパネルによる優れた蒸散・蒸発効果で太陽熱を吸収し、
さらに打ち水効果で熱吸収を緩和します。
②潤いある景観・生態系ネットワークの形成
都市景観に潤い・安らぎ・豊かな視覚環境を提供するとともに
セダム類やツツジ類の混植により、
昆虫や小動物の誘致を促し、
多様な生態系ネットワークに寄与する。
③ユニット基盤とセダム種による無灌水軌道緑化の実現
保水セラミックスパネルとセダム種を活着した一体型構造ユニットにより、
施工・メンテナンスの省力化が可能。
また、乾燥に強いセダム種を合わせることで無灌水軌道緑化を実現。
雨水だけで美しい緑を保ちます。
④デザイン性が高く多彩な植栽が可能
打ち水効果のある基盤を活用し、植栽基盤と着色基盤を組み合わせるなど多彩なデザインが可能。
また、いろいろなセダム種の植栽配置バリエーションが可能です。
実験協力業者として、平成28年2月に荒川車庫前停留所付近約40mの軌道緑化敷設工事を
完了させるとともに、その後一年間にわたる生育状況の経過観察や温度測定などの
検証実験を開始しました。
大まかですが、一年間の観察経過は次の通りです。
観察経過でご紹介のとおり、
先にあげた提案のポイント③の『無灌水軌道緑化』は実現できました。
モニタリングはこれだけではなく温度測定や生態系調査など、
東京都市大学さんの協力をいただきながら最終のまとめに入っています。
その内容については別の機会でご紹介したいと思っています。