春宵一刻値千金・・・北陸の春待ち人
先週はせっかくの花見会は、残念ながら雨のため屋内の催しとなりました。
うって変わり、翌々日の日曜は、水の温みや風の薫りを感じるような穏やかな陽気でした。
北陸人にとって雪溶けから脱して春の刹那に吹く風には、心弾むような躍動を感じます。
いわんや桜の時期においてをや。
《芦城公園の夜桜》
前回に引き続き、小松市の芦城公園の夜桜。
咲き乱れる桜は凄まじくも幻想的で、しばし浮世の憂いを忘れます。
春宵一刻値千金 花に清香有り 月に陰有り ・・・
この有名な詩の作者は蘇軾、北宋代の官僚・書家・詩人。
その号は「東坡居士」。 中華の豚角煮「東坡肉」(トンポウロウ)
は、彼が左遷された際に考案した料理とされているそうです。
詩からお料理からも、人生の苦楽を楽しんでいる風情を感じます。
《みなとや食堂-外観》
★ちょっこし歩くと小松市街中心部に、昭和レトロな「みなとや食堂」、
年中24時間営業のお店。
豊富なメニューと共に漂う空気、そしてやる気があるとは思えない
ご亭主の風格がなんともミステリアスで魅力的な雰囲気があります。
メニューの中にはライスではなく「めし」。
そして多分他では見かけない「はべん」などという単品もあります。
*はべん・・・北陸の方言で “かまぼこ”のこと
《みなとや食堂-メニュー》
ここのご亭主、テレビで紹介されたところによると昭和40年代の
学園紛争時に東大を中退、文芸畑を志し「乙女の湖」という著作の他、
いくつかの出版もあるとのこと。 当世の蘇東坡みたいな人です。
この日は家内と、「牛こま焼き肉定食」・「焼き魚定食(アジ開き)を」
注文、濃い味付けのお菜ででボリュームのある「めし」はスイスイ。
「焼き魚定食」は、煮物・おでん・サラダ・玉子焼きが焼魚と同居し、
メインが何かはわからないほど・・・。
「牛こま焼き肉定食」 《みなとや食堂-メンバーズ・カード》
コミック・映画の「深夜食堂」を彷彿とさせ、味のある小松市の文化財級の名店です。
帰りにメンバーズカードにスタンプを押してもらい、再訪を期して今日も帰ります。
みなとや食堂、一刻値千金 ・・・、いっぺん行かれ。