北陸紀行・・・初春の歳時記 『乞食正月』
カテゴリー:その他 タグ:その他, 北陸 2017年01月18日
1月は朔日の『男正月』に始まり、七日の『七草』、十一日の『鏡開き』、十五日の『女正月』
と正月終(しま)いの行事は続き、そしてこの二十日は『奴正月(やっこしょうがつ)』として
正月の祝い納め。
正月にお迎えしていた神様が、各所にお帰りになる日です。
この日は、地方によっては、正月用ブリの骨まで食べ尽くすので『骨正月』、弊社所縁の北加賀・
能登の一部地域では『乞食正月』、なんとも不穏な言葉で呼ばれているようで、この日までご馳走
の残りや餅を食べ尽くすといった風習があったようです。
武家では、具足・冑にお供えをして祝い、二十日(はつか)にかけて、『刃束(はつか)正月』
とも呼ばれていたそうです。
因みに慶事において、東の「鮭(サケ)文化」・西の「鰤(ぶり)文化」と言われますが、ここ
北陸地方は金沢の正月料理に欠かせない馴れ鮨の一種「かぶらずし」を見るように圧倒的に「ぶり」。
そしてブリのアラを使ったこれも冬の食彩「ぶり大根」はこの『乞食正月』の名残りかも。
「かぶらずし」 「ぶり大根」
慌ただしい現代、「え?まだ正月なの。」などと、道(い)うを休(や)めよ。
終わったと思っていた新しい年への覚悟や晴れがましさ、その正月の余韻を感じながら、今一度、
この一年に想いを馳せるのも一興、先人の知恵と余裕かもしれません。