ものづくり村から・・・Season2 【4話】 開発秘話! 発泡セラミックスの秘密
カテゴリー:保水セラミックスパネル タグ:ものつくり村から, 保水セラミックスパネル, 発泡セラミックス 2015年10月01日
こんにちは。
グリーンビズ基盤の製造工場からの便りです。
さわやかな秋晴れが続き、朝夕がめっきり涼しくなりました。
ここまでなんとかもちこたえている「ものづくり村からSEASON2」ですが、「ニューフェイス」の登場
もあり、今後に少し寒さを感じる今日この頃です。
「秘話シリーズ」は、本来あるべき話題に方向転換です。
屋上緑化や壁面緑化に使われている保水セラミックスパネル「グリーンビズ基盤」は、別名「発泡
セラミックス」と呼ばれています。
前シリーズでは、「泡構造をもったセラミックス」として、その製造方法についてご紹介しましたが、
そもそも何故この素材が開発されたのか...?
今回はその謎に迫ります。
さて、世の中には「ごみ」が溢れています。
家庭から出る「ごみ」は一般廃棄物と呼ばれ、国の統計では一人あたり1日の排出量は約1kgだそうで、
人口10万人の都市では1日100トンの「ごみ」が家庭から出ている計算となります。
皆さんは「燃えるごみ」と「燃えないごみ」をちゃんと分けて捨てていると思いますが、一般的には
「燃えるごみ」は『焼却場』で燃やして処分されますし、「燃えないごみ」は『埋立場』で文字通り
埋め立て処分となります。
して、「燃えるごみ」は全て燃えてしまって何も残らないのでしょうか?
いいえ、燃え尽きても「焼却灰」が残るのです。
これが結構な量でして、多いときは全体の1割が「焼却灰」として残ってしまいます。
では、「焼却灰」とはいったい何なのでしょうか?
基本的には「燃えないもの」が「焼却灰」として残りますが、その主成分を調べると「SiO2-CaO-Al2O3」
となります。
これって何かと言いますと、実は「土」と同じ成分なのです。
「土」と同じなら「燃えないごみ」としてそのまま埋め立てればよいと思った方、そうはいきません!
「焼却灰」には、「ダイオキシン類」とか「重金属類」という結構身体に悪い物騒なものが含まれていて、
簡単には「埋め立て処分」が出来ない厄介者なのです。
ちなみに、「ダイオキシン類」は800℃以上の温度に熱してやれば分解して無害になりますし、「重金属類」
も周りをガラスやプラスチックのようなもので密封してしまえば、流れ出したり身体に付着したりする
ことはありません。
ここで「セラミックス」ってなに?ということをおさらいしますと、
「金属や非金属を問わず、無機物を高温で焼き固めた焼結体」、「粘土を1,000℃以上の高温で焼き上げたもの」
となります。
そこで、ある技術者は考えました。
「粘土」の代わりに「土」と同じ成分の「焼却灰」を使えないだろうか?
「焼却灰」の中に含まれる「重金属類」をガラス質に封じ込めて、構造原料として使えないだろうか?
1,000℃以上の高温で焼き上げれば「ダイオキシン類」は分解されて無害化できる!
そうすれば、厄介者の「焼却灰」も立派に役立つことが出来るはず!
ということで、この技術者は「厄介者の焼却灰」の再生に懸命に取り組み、「発泡セラミックス」の開発に
成功しました。
「発泡セラミックス」の原点は、「焼却灰」の無害化・再資源化のために生み出された技術なのです。
その開発の背景には、家族等から「燃えない粗大ごみ」とか「そこに居るだけで厄介」などと言われていた
技術者の寂しさと、再生へ向けての強い思いと執念がありました。
次回は、「【5話】 なぜ使う? バイオマスケイクの秘密」です。
噂の『ジャイアン』情報ですが、その名の通りちょっと「デカイ」らしいですよ。
みなさま、お楽しみに!